遺言書で特定の人に財産を渡したい|遺贈と相続の違いを解説【福岡・飯塚の相続遺言ガイド】

「お世話になった長男の嫁に財産を渡したい」
「お世話になった友人に少しでも残したい」
このような相続人以外の方に財産を渡す場合には、「相続」ではなく、
遺言による贈与、「遺贈」という制度を使うことになります。といいます。
本記事では、遺贈と相続の違いと、遺贈をする際の注意点を解説します。
相続と遺贈の基本的な違い
「相続」は、民法で定められた相続人(配偶者・子・親・兄弟姉妹など)が財産を引き継ぐことを指します。
一方「遺贈」は、遺言によって、相続人以外の方(内縁の配偶者、子の配偶者、友人、お世話になった団体など)や、相続人に対しても法定相続分を超える形で財産を渡すことを指します(民法964条)。
遺言書で相続人以外の方に財産を残したい場合は、必ず「遺贈する」という表現を使う必要があります。
相続と遺贈の比較
| 項目 | 相続 | 遺贈 |
|---|---|---|
| 対象者 | 法定相続人のみ | 相続人・相続人以外の誰でも可 |
| 遺言書の表現 | 「相続させる」 | 「遺贈する」 |
| 不動産登記の手続き | 相続人が単独で申請可能 | 原則、受遺者と相続人(または遺言執行者)の共同申請 |
| 登録免許税(不動産の場合) | 原則0.4% | 相続人以外への遺贈は原則2% |
| 放棄の方法 | 相続放棄(家庭裁判所への申述) | 包括遺贈は相続放棄に準じる/特定遺贈は意思表示のみで可能 |
遺贈の2つの種類
包括遺贈
「全ての財産を○○に遺贈する」「全財産の3分の1を〇〇に遺贈する」のように、財産の割合を指定して渡す方法です。
この場合、受遺者は相続人と同様にプラスの財産だけでなく、借金などマイナスの財産も含めて承継することになります(民法990条)。
特定遺贈
「〇〇の不動産を△△に遺贈する」のように、特定の財産を指定して渡す方法です。原則として借金などの負債は承継しないため、包括遺贈に比べて受遺者にとって負担の少ない方法といえます。
遺贈をする際の注意点
- 相続人以外への遺贈は、不動産の登録免許税や不動産取得税が相続の場合より高くなることが多い
- 相続人の遺留分を侵害する内容だと、遺留分侵害額請求を受ける可能性がある
- 遺贈の登記手続きは、相続人全員(または遺言執行者)と受遺者の共同申請が必要になる場合が多く、手続きが煩雑になりやすい
- 受遺者が遺言者より先に死亡した場合、原則としてその遺贈は効力を失う(民法994条)
手続きをスムーズにするポイント
- 遺言執行者を指定しておくことで、受遺者と相続人が直接やり取りする必要がなくなる
- 遺留分を侵害しない範囲を意識して遺贈割合を検討する
- 特定遺贈にするか包括遺贈にするか、財産の内容に応じて選択する
- 付言事項で、なぜその方に遺贈するのかの理由を伝えておく
よくある活用ケース
- 長男の配偶者など、法律上相続人にあたらない親族への財産分与
- 内縁関係にあるパートナーへの生活保障
- 特にお世話になった友人・知人への感謝の形
- お世話になった団体・NPO法人などへの寄付(社会貢献としての遺贈寄付)
遺贈を検討する際のチェックリスト
- 相続人以外に財産を渡したい相手が明確になっているか
- 包括遺贈と特定遺贈のどちらが適しているか検討したか
- 相続人の遺留分を侵害していないか確認したか
- 遺言執行者を指定しているか
- 登録免許税など、遺贈特有の費用増加を把握しているか
よくある質問(FAQ)
- 「相続させる」と書くべきところを「遺贈する」と書いてしまったらどうなりますか?
-
相続人に対して「遺贈する」と記載しても、その方が相続人である限り原則として有効に扱われることが多いですが、登記手続きの手間や税金面で不利になる場合があるため、正確な表現を使うことが重要です。
相続登記の場合、登録免許税が4/1000と贈与の登記より負担が少なくなります。
- お世話になった友人に財産を渡したいのですが、遺留分の問題はありますか?
-
遺贈によって相続人の遺留分を侵害する場合、その相続人から遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。遺留分相当額の金銭の請求を受けることになります。
遺贈する財産の割合は、遺留分にも配慮して検討することをおすすめします。
- 遺贈する相手が先に亡くなってしまったらどうなりますか?
-
原則として遺贈の効力は失われ、その財産は相続人に帰属します。
心配な場合は、予備的に別の受遺者を指定しておくことで遺言書の失効を防ぐことも可能です。
まとめ
相続人以外の方に財産を渡したい場合は「遺贈」という制度を活用し、遺言書には「相続させる」ではなく「遺贈する」と正確に記載することが重要です。
遺贈には登記手続きの煩雑さや税金面での違いもあるため、遺言執行者の指定や遺留分への配慮とあわせて検討することをおすすめします。
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