国籍法:「帰化許可申請」の根拠法

普通帰化とは
普通帰化とは何か
一般的な留学や就労などで日本にこられた外国籍の方が、帰化許可を法務局へ申請するためには、国籍法5条に記された帰化要件(普通帰化要件)を満たしている必要があります。
条件緩和が定められている簡易帰化に対し、一般的要件は、普通帰化と呼ばれています。
国籍法5条の要件とはどのようなものなのか、注意点はどこなのか。を知っておくことは、帰化をお考えの方にとって非常に大切なことです。
帰化の根拠である国籍法を中心に読み解いていきたいと思います。
帰化に関する国籍法の種類
帰化には、帰化(国籍法4条)、普通帰化(国籍法5条)、簡易帰化(国籍法6条、7条、8条)とその根拠が国籍法に記されています。
また国籍法2条は、出生によって日本国籍を取得する要件(ケース)が定められています。
簡易帰化については、別の記事で詳しくご紹介しております。
国籍法2条について |「出生による国籍の取得」
子は、次の場合には、日本国民とする。
1、出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
2、出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であったとき。
3、日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。
・外国籍の方が、子の出生の時に既に日本に帰化していた場合に、出生した子は日本国籍を取得することが出来ます。
国籍法4条について|帰化の根拠」
日本国民でない者(以下「外国人」という。)は、帰化によって日本の国籍を取得することができる。
2、帰化をするには、法務大臣の許可を得なければならない。
・帰化申請の最終許可権者は日本国の法務大臣であり、非常に大きな裁量権があることが国籍法に定められています。
国籍法5条について|「普通帰化の条件」
・国籍法5条は、帰化許可申請のために必要な「住所要件」「能力・年齢要件」「素行要件」「生計要件」「国籍喪失要件」「思想要件」を定めています。これらに加えて「日本語能力要件」も必要となります。
・法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。
1、引き続き五年以上日本に住所を有すること(住所要件)
・帰化の申請をする時まで、引き続き5年以上日本に住んでいることが必要です。
そのうち就労や身分の在留資格を3年以上経過していることが必要です。
2、十八歳以上で本国法によって能力を有すること。(能力・年齢要件)
・年齢が18歳以上であって、かつ、申請人の母国の法律でも成人年齢以上であることが必要です。
3、素行が善良であること。(素行要件)
・素行が善良であるとは、犯罪歴の有無やその内容、税金の支払い状況、社会への迷惑の有無など総合的に判断し、一般的に、普通に生活していれば起こらない、発生しないだろうという社会通念を基準として素行が善良かどうかを判断されることになります。
4、自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること(生計要件)
・申請者自身が、今後生活に困るようなことがなく、日本で生活していくことが可能でなければなりません。
この条件については、たとえ申請者に収入がなくても、配偶者やその他の親族の資産又は技能によって安定した生活を送ることが出来れば、この条件を満たすことは可能となっています。
5、国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと。(重国籍要件)
・日本に帰化しようとする方は、無国籍であるか、又は、日本への帰化によって、それまでの国籍を喪失することが必要です。
なお、国よっては、国籍の喪失を認めていない国もあります。
そのような本人の意思によってはどうすることもできない場合は、日本の国籍法第5条2項が適用され例外的に帰化が許可となる場合もあります。
6、日本国憲法施行の日以降において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。
・日本の政府を暴力で破壊することを企てたり、そのような主張をしたり、団体を結成したり、既に団体に加入している方などは帰化が許可されません。帰化申請後はこのようなことも審査対象となります。
7、日常生活に支障のない日本語能力
・帰化の申請のためには、国籍法の各条件に加え、日常生活に支障のないレベルの日本語能力を持っていることが必要です。
・ひらがな、かたかな、漢字について、小学3年生以上のレベルと言われています。
・日本語能力に不安があると思われれば、日本語テストがある場合もあります。
・帰化申請では、最初の面談から日本語の能力については審査官に確認されていると思って良いかもしれません。
まとめ
普通帰化の要件を満たした方は、帰化申請が可能となります。
また法務大臣により帰化が許可されれば、非常に安定して日本での生活を送ることが出来ます。
非常に厳しい審査をクリアするために、母国や日本での多くの書類を集め、申請書類を作成することは非常に大変で、時間的にも、精神的にもご負担となります。
しかしながら、これだけの書類を作成し申請したとしても、必ず許可されるわけではありません。また必要書類の不足のため、追加要請に対応する場合、さらに審査期間が長期化することもあります。
1年~1年半くらいかかることもあります。
そのため将来、帰化申請、または永住申請を少しでもお考えの場合は、現在申請可能なのか、または、スムーズに申請・審査が行われるために、今後どのようなことに注意して日々生活すればよいのか、事前に確認をしておくことが非常に大切です。
国籍を変更するということは、ご自分の人生や、ご家族の人生にも非常に大きく関わることです。
親族や知人・友人のケースと、ご自分のケースとは、全く状況が異なります。
是非、行政書士などにお問合せいただき、現在の状況を十分に確認されることをおすすめいたします。
弊所行政書士あきつ事務所でも帰化申請に関するご相談を受付中です。
もしご不安なことございましたら、お気軽にお問合せくださいね。